グロービッシュへの批判まとめと、東大生英語教師が思うこと

こんにちは。

最近、グロービッシュ(Globish)なるものを知りまして。

 

Global + English の造語で、

非ネイティブにも伝わるように1500単語だけで英語を話そう!

っていう趣旨みたいです。

 

でも、そんなグロービッシュには批判が多いのも事実。

 

そこで、今回は、

グロービッシュに対する批判をいろいろまとめた上で、
東大生で英語教師もしている僕が思うことも書いていきたいと思います。

 

それでは、スタート!

 

グロービッシュとは?

まず、グロービッシュを知らない方のために解説しますと、

グロービッシュとは?

標準的な英文法と、使用頻度の最も高い英単語1500語のみを使用した英語。

ジャン=ポール・ネリエールにより提唱された。

英語を母国語としない者が国際ビジネスに適応するために生み出した共通語といえる。

例えば、甥をnephewという難しい単語を使わずに、the son of my brother(私の兄弟の息子)と言い換えたりする。

(参考:Wikipedia)

 

簡単にいうと、

今の英語は非ネイティブには難しすぎるから、
みんな簡単な英語を使って会話してみない??

ってことです。

 

非ネイティブはもともと簡単な英語しか話せないので、
主に、ネイティブが非ネイティブに話すときに使うことを想定されています。

 

グロービッシュへの批判まとめ

英語を学習している人の目線からだと、

「え、それめっちゃいいじゃん!」

と思いがちなのですが、
批判が多いことも事実。

 

では、どんな批判があるのか。

いくつかみていきましょう。

 

1500単語は少なすぎる

まずは、1500単語という単語数が少なすぎる、ということです。

さっきも紹介したように、nephewという単語さえないので、the son of my brother(私の兄弟の息子)と言い換えたりしないといけません。

 

…正直、不便すぎるのでは?

っていうことです。

 

 

1500単語じゃ、正直全てを正しく表現するには少なすぎる単語数なんですよね。

 

だって、日本の高校卒業レベルの単語数が、4,000語~5,000語だから。

ちなみに、中学卒業レベルでも、1600-1800語です。

 

それを考えると、1500語ってたしかに少なすぎると思います。

 

ネイティブに浸透してないから無意味

実は、グリービッシュは、ネイティブには全く浸透していません。

アメリカ人に聞いても、
「グロービッシュ?なにそれ?」
ってなると思います。

 

 

そうなんですよ。

「グロービッシュ!なにそれ最高じゃん!」
って喜んでるのは、非ネイティブや英語学習者だけなんですね。

 

でも、さっきいったように、グロービッシュは基本的にネイティブが非ネイティブにはなしかけることを想定しています。

だって、非ネイティブが話すときはそもそも難しい単語使えないから。

 

だから、ネイティブに浸透させないといけないんだけど、
全く浸透していない。

 

 

だから、非ネイティブの人だけが「グロービッシュだ!」って言ってても、完全に意味がない、ということです。

 

一理ありますね。

 

慣用句に対する言及がない

あと、基本的にグロービッシュには、慣用句に対する言及がありません

 

1500語というのは、基本的に1単語の話。

 

  • make up with
  • take down
  • put off

などの慣用句は、使っていいのかが明記されてないんです。

(たぶん、使ってはいけない、ということでしょう。)

 

しかし、実際の英語を聞いてみればわかりますが、

慣用句の嵐です。

 

英語は慣用句抜きでは語れません。

なので、慣用句へのフォローが全くない、というのはかなり致命的です。

 

東大生英語教師の僕が思うこと

ここまでは一般的にグロービッシュに対してされている批判です。

で、ここからは、東大生で、英語を5年間教えている僕が
グロービッシュにたいしてどう思っているのかを書いていきます。

 

まず、結論から言うと、

僕は上で紹介した批判に賛成です。

 

グロービッシュは、国際ビジネスで普通に使われるようになることは、たぶんないのかな、と。

 

 

理由は、上で紹介した3つですね。

 

そのなかでも、一番問題なのが、ネイティブに全く浸透していない、ということでしょうね。

 

ネイティブからしたら、

「なんでこっちが単語レベル落とさないといけないねん。君らが英語勉強すればええねん」

と思うと思います。

 

 

というか、そもそもの話。

ネイティブが単語レベルを落として話すのは、無理だと思います。

 

日本語で考えてみてください。

 

「私の甥がね、、、」

って話すところを、

「私の兄の息子がね、、、」

ってスラスラ言い換えることができると思いますか?

 

無理ですよね。

 

たぶん、

「私の甥がね、、、あ!、えーっと、甥じゃなくて、私の、、兄の、子供?がね、、、」

みたいな感じになると思います。笑

 

これじゃ、会話どころじゃない。

だから、国際ビジネスでグロービッシュが共通語になるのは無理なのかな、と。

 

でも、グロービッシュはメリットもある

でも、だから

「グロービッシュは完全に不要」

というわけでもないと思います。

 

なぜなら、

英語学習者のための一つの指標にはなる

からです。

 

正直、英語習いたての人は、ゴールが全く見えません。

ネイティブのペラペラ英語を聞いて、
「私には無理だ、、あと何年かかるんだろ、、」
って絶望したことがある人も多いと思います。

 

 

でも、

「とりあえずは、グロービッシュを目指してみよう!」

といわれたらどうですか?

 

目標が具体的だし、かなり現実味がありますよね。

「とりあえずグロービッシュは身につけよう!」
とモチベーションもわくと思います。

 

人間は、目標が近ければ近いほど、具体的であれば具体的であるほど、
やる気が起こりやすくなると言う性質があるんです。

 

だから、グロービッシュは、英語学習者の一つの目標としては、
かなりいい基準なのかなー、というように思います。

 

まとめ

今回は、グロービッシュに対する批判と、僕の意見を話してきました。

まとめると、

まとめ

グロービッシュの3つの批判

  1. 1500単語は少なすぎる
  2. ネイティブに浸透しなきゃ意味ない
  3. 慣用句がない

でも、

  • 英語学習者の一つの目標としてはかなりいい

 

「英語習得の道が遠い!!」

「目標が見えない、、」

と言う人は、ぜひグロービッシュをとりあえずの目標にしてみてはいかがでしょうか?

 

また、英会話力がなくても、英語でペラペラしゃべるコツを書いた記事もあるので、
ぜひ今回の記事と一緒にご覧ください。

英会話力がなくても外国人とペラペラ話せるようになるたった一つの秘訣。

2020年1月10日

 

動画でもわかりやすく解説をしています。
(上記の記事とは異なる内容です。)

 

 

それでは!

 


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1 個のコメント

  • a)
    >非ネイティブはもともと簡単な英語しか話せないので、
    >主に、ネイティブが非ネイティブに話すときに使うことを想定されています。
    >
    >でも、さっきいったように、グロービッシュは基本的にネイティブが非ネイティブにはなしかけることを想定しています。
    b)
    >基本的にグロービッシュには、慣用句に対する言及がありません
    >・make up with
    >・take down
    >・put off
    >などの慣用句は、使っていいのかが明記されてないんです。
    >(たぶん、使ってはいけない、ということでしょう。)

    この部分根本的にまちがっています。
    そもそもの部分がまちがっているので、ジャックさんのこのエントリーも、グロービッシュ批判としては、的外れ・トンチンカンになってしまっています。

    *****
    グロービッシュの提唱者J.P.ネリエール自身によれば、グロービッシュの位置付けは

    ・非ネイティブ同士のビジネスの道具(ツール)としての最小公倍数(単語・文法)(注1)

    です。

    たとえば日本産のセトモノの器を取引しようというカルムイク人(旧ソ連圏)のA氏とペルー人(南米スペイン語圏)のBさんがいたとして、お互いに
     ・グロービッシュ
       と
     ・専門分野の単語(この場合は焼き物産業の分野の語彙)
    を勉強すれば、【取引成立に至るまでの意思疎通が可能】という設定になっている、とされています(注2)。

    そして、取引の現場に、慣用句(idiom)とか、英語ブンガクの素養にもとづく比喩(analogies)とかを駆使して喋りかけてくるネイティブさん・準ネイティブさんが現れた場合には、「済まないけどグロービッシュで喋ってくれない?」ということになっています。(注3)

    以上は、提唱者J.P.ネリエールによるグロービッシュの理論書『世界のグロービッシュ globish The World Over』(東洋経済新報社,2011)(以下GWOと略称)に書かれていることです。

    ************
    b)の引用箇所について、ジャックさんが「慣用句」として例示した
    >・make up with
    >・take down
    >・put off
    ですが、GWOでは第二部17章,「4.簡単な動詞と前置詞で句動詞ができる」(pp.126-129)で、「句動詞(phrasal verbs)」といいう名称で、1節を割いて、きわめて明瞭に言及されています。

    Phrasal verbs are so common that you cannot avoid them inn Globish.(中略)In many cases, the Phrasal Verb is the way that both native-English speakers and Globes speakers often avoid using a less common English verb.(句動詞は、よく使うので、グロービッシュでは避けて通れない。(中略)多くの場合、句動詞は、英語のネイティブにとってもグロービッシュを使う人にとっても、一般的ではない英語の動詞を使わないで済むので、よい方法である。)

    というわけで、ジャックさんの
     >しかし、実際の英語を聞いてみればわかりますが、
     >慣用句の嵐です。
     >英語は慣用句抜きでは語れません。
     >なので、慣用句へのフォローが全くない、というのはかなり致命的です。

    という言及は、まったく当てはまらない批判となります。

    ************
    グロービッシュ・ブーム(2011-13頃)当時、批判のつもりで表明された意見によく見られたのが、
     ・これだけではネイティブには通じない
    というものです。

    ジャックさんの「ネイティブに浸透してないから無意味」「慣用句に対する言及がありません」「ネイティブが単語レベルを落として話すのは、無理だと思います」というのも、すべてグロービッシュ批判としては的外れ、ということになります。

    **************
    日本におけるグロービッシュブームは3,4年でおわり、結局、非ネイティブ圏諸国において「非ネイティブ間のビジネスツールとしての地位を確立できなかった」という点では、ジャックさんのご批判にもあたっている部分はあります。

    日本のグロービッシュ普及の公式団体も、公式本としてはGWOの翻訳と、薄い入門書を1冊だしただけで活動をやめてしまいました(組織としては、名前をかえ、社会人・企業むけ英語講座とか翻訳・通訳団体としてつづいているようです)。私も、去年の秋ごろ、ブームのころに書かれた古い記事でグロービッシュのことを知り、ヤフオクとアマゾンで安値で叩き売りされている本を4冊ほどかい、ジャックさんが「メリットはある!」で述べておられるような目的で、やり直し英語の教材として使っています。

    注1)ネリエール,2011,9章・10章(pp75-93).
    注2)「グロービッシュとはなにか」、グローバル人材開発『非ネイティブ英語 グロービッシュ入門』(中経出版,2011),pp.27.
    注3)ネリエール,2011,7章(pp55-65).9章(pp74-81).19章(pp142-147).

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